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犬に名前を法の裁きを

2005年5月27日 (Fri) 18:27:48

その年はミリバールからヘクトパスカルに気圧の単位が変わった年だった。

Bicketは旧家の一人息子で、広いお屋敷に住んでいる。両親とも元教師。大きな門を入ったところに老犬がいる。
「名前は?」「無しです」「ずっと?」「はい。もう弱って目も見えない。人が来ても吠えもしない」

ある時「犬を飼いたいのですが」と電話がかかってきた。ちょうどTTから「犬を貰ってくれる人いないかい?」と電話があった後だった。何も連絡しないでいきなりBicketの車でTTの家まで行った。庭先で犬が10匹ほど吠え立てている。さぞかし近所迷惑だろうと思う。近所の人に「行き先わかりますか?」と聞いたら「多分パチンコ屋だと思う」ということだったので待った。結局夕方の4時から夜の8時まで待った。町内会の旅行に行っていたらしい。残った6匹中オスは1匹だけで、後の5匹は保健所に持っていく、ということだ。まだ目も開いていない。足も立たない。小さな私の手のひらに乗る。「名前を考えてください」帰りの車の中でBicketが言った。Bicketの家に到着してその犬にミルクを飲ませた。当分Bicketの部屋の中で育てられることになった。
「賢い犬になるように、パスカルにしよう。ついでに玄関にへたり込んでるあの老犬にも名前を付けよう。あの老犬はヘクトよ。どお?」「OK有難うございます」

5月の連休にBicketの家のGardenでBarbecue Partyがあった。アメリカ仕込みのステイキとハンバーグをバンバン焼いてくれる。パスカルは白いやわらかい毛が生えて、可愛い、でもまだヨタヨタの子犬になっていた。ヘクトも家人からヘクトと呼ばれていた。名前って、本当に存在と密着し始めるものだと、名前の不思議を感じた。

犬の名前。実は、TTの家で、Bicketと私を唖然とさせる場面に出くわした。なんとTTが、飼っているメスの成犬の1匹を「Bruxelles」と呼んだのだ。そのBruxellesは尻尾を振って走ってきた。Bicketが思わず私の顔をみた。人を不愉快にするこういう行為を、法に訴える手立ては無いものだろうか!!

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「Salade de fruits」 Bourvil
 確か森山加代子が昔日本語で歌っていた。
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自己乖離したB

自己乖離したB 2005年5月14日 (Sat) 17:52:57

徹夜というのを生まれてから一度もしたことがないのに、FMセブンでプログラム作りを始めてから、気づいたら朝になっているという体験をした。プログラムのバグ取り、8時間かかって探した挙句、点がひとつ不足していたとか、多かったとか、原因がわかる。色々データーを入れて走らせてみる。そうして原因を突き止めるわけだけれど。これがまるで推理小説のようで、そう昔は結構楽しかった。ああしたらどうだろう、こうすればどうか、と色々データーを入れて試している間に原因が絞られてきて、そしてついに正体が見つかる。一番楽しいのはバグ取りだったかもしれない。まあ、昔は根気があっただけなのだけれど。今ならそんな面倒なことは、はなからチャレンジしようとも思わないだろう。パソコンをいじっていると眠気が起こらない。それだけ物珍しくてスリリングだったのだろう。

ある朝何を思ったのか、気分に異変はなかったのだが、イスからフラリと立ち上がり、足が勝手に洗面所に向かった。何故その場を離れようとしているのか自分でもわからない。洗面所で何をしようとしているのだろう。ただ、自分は洗面所に来たのだ、と知覚した瞬間に、一気に吐いた。吐いている自分に驚いた。全く苦しくもなんともない。それが不思議だ。うがいをして、その辺を洗浄して、吃驚したままデスクに戻った。ショックでしばらくポカンとしていた。そして30分くらい色々原因を考えた。優柔不断で、決断力に乏しい天秤座なのに、決心する前に、もう身体が動いていた。すべてのコードを外し、画面の上にキーボードを乗せて、押入れに向かって歩いていた。あれ以来FMセブンも、NECの画面も、富士通のカセットレコーダーも、ずっと押入れに入ったままだ。あの時パソコンには2度と触れまいと決心した。

10数年前、コンビニのコピー機の前で、プロを目指すギター青年と出会った。彼はプリンスのファンだった。何度目かの時に「パソコンを買って、無料で音楽ソフトをダウンロードしている」という話をした。インターネットだ。「そんなことができるの?」と聞くも驚く話ばかりだったが、パソコンを買いたいとは、思わなかった。windowsはまだ登場していない。自分は蚊帳の外にいようと決めていた。

駅前にパソコンルームができてNet-Surfingをしてみようと久々にキーボードに触れたのは2年前の秋。去年の初め頃はまだ日本語入力もまともにできなかった。どうすれば漢字が出るのだろう。浦島太郎の心境だった。

FMセブンを押入れにいれてから、もう20年が過ぎた。事故で一気に目を悪くし、意識不明の母の24時間介護からくるストレスでさらに視力を落とした。失明だけはしたくない。裸の気持ちとしては、パソコンを生活に取り入れたいとは、あれ以来まだ一度も思ったことはない。
PLANETE BARBARAを救出したいと、よく見えもせぬ目で、それでも歯を食いしばって格闘しているのは、私の中でいつの間にか呼吸し始めていた、Bruxelles一人だけだ。
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FREHEL 「LA DER DES DER」

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