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ホスピスという希望 佐藤健 著

がん治療を専門としている医師は、抗がん剤の治療で癌が治るものではないことを知っています。抗がん剤は効果があれば腫瘍が小さくなると言うことで、それによって延命に繋がることもあれば、たとえ効いても延命に繋がらないこともあります。画像上わからなくなるほど効いたと言うことは稀にあっても、がん細胞がゼロになったと言えることは皆無なのです。
(「ホスピスと言う希望」 P.112 佐藤健 著)
これに関しては、何度か書いてきた。私の執刀医も「癌がひろがりすぎていて、ほとんど取り除くことが出来ませんでした」「これからは抗がん剤治療にはいります」「抗がん剤で、病気が治ることはありません。常に死を頭の隅に置いて考えてください」「抗がん剤はやっている時しか効きません。(副作用に耐えられなくて、やめたら再発するということ)」「抗がん剤が効いても、治ることはありません」「抗がん剤をすれば、数ヶ月の延命の可能性は出てきます」「効いた場合は延命の可能性がでてくる場合もある、と言うことです」言葉も意味もわかるのだが、やはり「嘘だろう」という漠然とした気持ちがあったように思う。昨夜久しぶりに三番街の紀伊国屋に立ち寄って、この本を買って、ここまで読んで、ここで立ち止まり、今ようやくダイレクトに主治医の言葉が、差し迫ってきた次第である。すでに頭では充分理解していたが、また理解していたがゆえに、抗がん剤治療を途中で打ち切らせていただいたのではあるが、今回このP.112を読むまでは、そこを深く考えることをしなかったように思う。それこそが、がん患者にとってホスピスが必要なその理由である、こともわかった。
初めから「ホスピス、ホスピス」と言っていたわりには、ホスピスに関する知識もほとんど無かった。出来るだけ苦痛を軽減してあの世に旅立たせてくれる施設、のように認識していた。
今回この本を読んで、ホスピスの3つの入院(P.43~P.58)があることを知った。
1.最初の病症コントロールのための入院
2.休息の入院 レスパイトケアの入院
3.お別れの時が来るまでの入院 見取りの時
つまり、3の「見取りのための入院」しか知らなかったことがわかった。

まだ3分の1も読んでいない。読んでから続きを書いていくつもりである。
「ホスピスという希望」と言うタイトルの意味も少しわかりかけてきたが、その希望は裏返せば「癌医療の絶望」との対になっていることがわかってきた。ひとは皆いずれ死ぬのであるから、「希望」という対の存在はありがたい。単に心理的な宗教的な心のケアーだけではなく、苦痛緩和、という役割の重みに期待し、安らかな旅立ちを「希望」したい。
ただしこの本に出てくるホスピスは「国立病院機構豊橋医療センター」のことであり、執筆者はそこの緩和ケアー部長である佐藤健氏である。すべてのホスピスがここまで理想を追求できているか否かは、勿論断定できない。

追記:2015年7月24日
後半はこの医師のこれまで、そして国立病院機構豊橋医療センターの誕生過程などに、内容が移っていく。どのような医療理念のもとにホスピスの存在があるのかがよくわかる。ただ前半ほどには患者がみえない。それにみんながみんなこのような先端理念のホスピスにたどり着けるわけではない。団塊の世代は、死ぬ時も「おしくらまんじゅう」なのが現状なのだろう。
一番心に残ったのはP.354のこの一行だ。
「ホスピスは患者さん自身の人生の自己決定を支えるところです。」
そんなホスピスに出会えたら、今まで生きてきたすべてに対して最高のご褒美になるだろう。患者が最後に望むことは、まさにその「支え」だと思う。自己決定を尊重してもらい、しかもそれを支えてもらえる、患者にとってはそれはすでに天国への入り口のように見えるはずだ。感謝と希望を持ってこの世を去ることが出来れば、患者は最高の「さよなら」ができる。どうか、ありえることであって欲しい。

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去年の昨日

いつか昨年を振り返って、初めから記述したいと思いながら、全く進まない。探す気がないからか、メモも見つからない。昨日ふと考えたら、去年の昨日が手術日だった。2014年6月10日。朝一番の手術で、どういうわけか歩いてエレベーターに乗り込んだ。ここでは手術患者は皆そうする。ドアが閉まるまで敬礼していた。この世に対して、自分の人生に対して。
朝の6時に公衆電話から同志F氏とO氏に電話した。「いまから手術に参ります」何故かこのまま死ぬような気がしたからだ。
手術前説明で医者からさんざん言われた。「手術中に死ぬこともあります」繰り返し言われるので、サインを躊躇していると医者が言った。「死ぬ死ぬと言っても、そんなに手術中にポコポコと死ぬわけではありません」ポコポコだったらたまらない。誰でもしない方を選び取るだろう。麻酔は全身麻酔で、手術中は一旦自発呼吸は止められて人工呼吸となる。口を大きく開けて酸素の管を気管支の中まで押し込んだようだ。記憶はないのだが、手術をした人は皆、長引く咳に苦しむ。人工呼吸の管を挿入する際に気管支に傷がつくかららしい。麻酔に関する危険、そして輸血に関する危険の説明も詳しくあった。それでかなりビビッてしまったことも確かだ。説明を聞いた感想としては、ポコポコのひとりになる可能性がかなり強かった。なにより、覚悟を決めなければならなかったのは「手術をしても全部は取れない。大部分が残る。手術をして生体検査をして(それが手術の目的)組織系が判別したら、そのあとその組織系に対応できる抗がん剤が決まる。そこから抗がん剤治療が始まる。しかし抗がん剤では完治はできません。いくばくかの延命に賭けるのみです。いくばくは数年ではなく、数ヶ月の延命。しかもうまくいけばの話。癌が怖いと認識されるのはそのためなのだろう。末期癌はほとんどの場合治らないのが現実のようだ。
入院のしおり、をみると、入院する前に「歯科にいくように」と指示が出ていて、私も歯科に行ったが「中途半端にいじって、そのまま入院となるより、治療するなら退院してからのほうが良い」と言われた。事実、入院前に歯の治療をしてくる患者は滅多にいないようだった。その目的はと聞いてみると、酸素吸入をする時に太い固いものを口にくわえるので、歯が折れたりぐらついたりする場合があり、折れて喉に転がり込むと危険だからだそうだ。管を引き抜くときも歯に強く当たるので、折れたりぐらぐらしたりするらしい。私はあらかじめ、強い衝撃を歯にかけないように(セメントでくっつけているだけの折れた歯があるので)お願いした。「わかりました、気をつけます」と言っていただいた。今、一部小さなメモが見つかった。「治らない可能性がある。死んでしまう可能性がある」と走り書きしているが、これは医者が言った言葉、そのままだ。ひとり暮らしなので、隠さないでありのままに全部伝えて欲しいと申し出ていたので、ありのままに伝えられたわけだ。「常に死を頭の中に入れておいてください」とも言われた。死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ、という噴水の中にいたので、他のことは一切考えられないような状態だった。
今6月9日の日記のようなものが見つかった。「4錠の下剤で黒いウンコが出ると、おなかがへこんで腹水が溜まっていないように見えるくらいになった。」(月曜日が体重測定の日だった)「体重39.25Kg、この体重の減少は何なんだろう。(普段は56Kgだった)」
「衰弱感と一致するのだろうか?では衰弱感はどこから?」-腹水が溜まると栄養が全部ソコに取られてしまう。それで腹水を抜くと、著しく衰弱する。この体重の減少もそのためだろう。40Kgを切るなどということは、子供の時以来だ。もし30Kgを切る時が来たら間違いなく死ぬだろう、とその時に思った。癌で死ぬ人は顔に癌相が表れる、と聞いたことがある。がりがりに痩せるのだ。エイズと同じ。隣のベッドで医者が患者に「生きる死ぬは体重が決め手」といっているのを聞いたこともある。確かにそうだと思う。食べられない、あるいは食べても消化できない、となると痩せるしかない。そう、癌死はある種の餓死だと聞いたこともある。
6月7日の文章には、腹水が溜まり始めた、と書いている。だから6月9日の腹水云々の記述はかなりいい加減だと思ったほうがいい。ここで確認しておきたいのは、私は手術前に腹水を7000cc以上抜いていて、その後はらはらすることは幾度もあるが、一度も抜いていない。また上に衰弱感云々と書いているが、ここに記入した衰弱感はその後何ヶ月も何ヶ月もつきまとった。衰弱感というのは、よろよろ感だ。他の患者さんに比べてやはり「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」状態だったのだろう。

手術前にどういう説明をうけたのか、抗がん剤投与前にどういう説明を受けたのか、そして腹水を抜く前にはどういう状態だったのか、これらはまた特別に日を改めて書いてみたい。

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