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お兄ちゃんがやられてる!

ゴムまりでワンバン野球をしていた時だと思う。何かが原因でアッと言う間にケンカが始まった。貴広ちゃんが兄の胸倉を締め上げて家の外壁に押し付けた。弟のT坊が兄の利き腕を両手で押さえつける。
「お兄ちゃんに何するねん」
私はT坊に後ろからくらいついて引き離そうと引っ張る。正孝ちゃんがそんな私を捕まえてさらに後ろから引っ張る。振りほどいてT坊の腕を払いにいく。正孝ちゃんが今度は私を突き飛ばす。私、倒れる。
「Bruxelles逃げろ」と兄が叫ぶ。
家の中に駆け上がって台所に向かって叫ぶ。
「お兄ちゃんがやられている!」
母は平気な顔をして驚きもしない。そのことに私はさらに驚いて、母のスカートの裾を引っ張って、よいしょよいしょと玄関の外まで連れ出した。
まだ喘息の発作が酷くなる前の幼稚園くらいの思い出だ。
F家の兄弟は皆生まれながらの金髪がかった茶髪、特に貴広ちゃんは運動神経が抜群で、きっとプロ野球選手になるだろうと近所で評判の子だった。
兄と貴広ちゃんは中、高と別々のところにそれぞれ越境入学したので、次第に接することもなくなった。T坊と私は、高校生になって、偶然クラスメートとして再会した。

F家はT坊と私が高校を卒業した直後に引越ししていった。
私は窓を少し開けて、T坊が荷物を運ぶのをじっと見ていた。
小さな天草と外で遊んでいると、いきなりT坊が「バアッ」と言って窓から顔を出したことがあった。T坊のバンドで私がヴォーカルをやったこともあった。
感傷的な気持ちになって、それでも「さよなら」を言いに出て行けなかった。
トラックのエンジン音が聞こえた。
その瞬間兄が立ち上がり、本棚から一冊の本を抜き取り、家を飛び出していった。私が後を追うと、黙って貴広ちゃんにその本を差し出していた。本棚をみると兄の愛読書エーリッヒ・フロムの「自由からの逃走」がなくなっていた。
参照:「そのほかの日々
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   GILBERT BECAUD 「L'important C'est La Rose」

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