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Robert un Berge (後編)

実姉から送ってきた小切手を換金に大阪に行くから、とRobertから電話があった。
銀行員がモタモタしてなかなか換金しない。挙句に1週間後にもう一度来るようにと言われ、Robertが怒った。決まりだから。おかしい、そんな馬鹿な。
怒り続けるRobertのそばで、私は小さくならざるを得ない。日本人の感覚としてこれほど怒るRobertが、みっともない、と思う。銀行員は私に、早くその2メートルを連れ出していってくれ、という合図を送る。私にRobertを宥める術はない。Robertと一緒にいる時、こういうことが2,3度あった。みっともないと思ったRobertの怒りに正当性があり、怒るのはみっともない、怒ってもどうにもならないという敗北主義のような自分の感性の方にむしろ問題があるのだと次第に気づいていった。
不当だと思える扱いをされて、黙っていることしかできないことほど、子供じみて情けないことはない。この発見は、後に自分がParisで暮らすようになった時、どれほど役立ったことだろう。

Robertとはよく居酒屋に行った。マス酒やヒレ酒はRobertが飲むのを見て初めて知った。周りのおじさんたちが近づいてきて必ずこう言う。

おじさん「その女の子、大事にしないとダメだよ」
B「Robert聞いた?大事にしないとダメよ」
R「僕が君を大事にしなかったことが一度でもあるかい?」

Robertは私より6歳上で、名古屋の女子大と大阪の料理学校でフランス語を教えていたけれど、実は留学生で、実家から援助を受ける身で、一日も早く自立したいと、いつも言っていた。
一度Robertの部屋で靴下の繕いをしたことがある。電球を入れて、昔父に教えられたように針と糸を使って。そしたら、これもあれもと穴の開いた靴下をRobertがどっさり持ってきた。日本人の学生より、はるかに苦しい生活なのだろう。
Robertはパイプをくゆらせて、いい匂いがするのだけれど、その火で時々ポケットに穴を開けてしまうようなドジなところがある。そうした欠点も含めて、Robertと私は心の奥底の襞が、とても合うような気がした。
ー「素晴しいニッポンバレです」?
Robertが窓を開けながらそう言う。
・・・・・・

それは京都の、やはり居酒屋だった。時間が遅いせいか、客はRobertと私、そしてもうひとり報知新聞の記者、仮にSとしておこう。
いつの間にか”日本の戦争責任”のことが話題になっていて、RobertとSが意気投合「日本は侵略戦争で迷惑をかけた国々に謝罪をしなければならない」等と言っている。

B「ベルギー人のRobertに日本の過去についてトヤカク言われる筋合いはない」
S「否、反省すべきことは反省しないと。ドイツ人のように大人になって反省しないと」
B「おじさん、新聞記者なのに。ドイツが謝罪し反省しているのは、ユダヤ人の虐殺ですよ。ドイツはユダヤ人と戦争していたわけではない。証拠も証人も引っ込めようのない犯罪なんですよ。日本は同盟国でありながらそんな狂気に走った理由なき犯罪に加担していません。戦争行為は、やるかやられるか、あくまで戦争であって、勝つか負けるか、そしてその後は講和条約で決着でしょう」
R「Remember Pearl Harbor. 日本は卑怯な開戦をしたでしょう。卑怯な過去をいろいろ総括して清算しないと」
B「すでに暗号解読されていて、アメリカ側が開戦宣告をのらりくらりと受理しなかったんですよ。あんなのも米国のプロパガンダです。知性のあるアメリカ人はすでに認めている事実です」
S「そんな態度では、これからの国際社会で、日本も日本人も生きていけませんよ」

南京大虐殺も従軍慰安婦問題も、靖国神社参拝もA級戦犯も、政治カードになるとはまだ誰も思いもしない、30数年前の京都の一夜の一場面だ。

私は祖国のために無念に死んでいった英霊たちの名誉を守りたい。
それは過酷だったが、私はあの政治の季節を「右翼」のレッテルを貼られて生きてきた!怒りは収まらず涙をためた目でRobertを見た。
政治クラブ「七曜会」に属し、日本戦史や国際政治の学習もすでに数年前からスタートさせていた。
Robertを許せない哀しさに、私は心身の深い深い部分で身悶えした。

/////////////
2007年7月15日、発行されたばかりの本が今手元にある。
「平成攘夷論」小林よしのり著。日本人としてのAccountabilityがわかりやすく集約されている。ご一読をお勧めしたい。
Tel Quel Japon : Politique
こちらはささやかな一日本人のaccountabilityの任を負う、私のBlogである。一番最新の記事でも、試しにクリックしていただけたら幸せである。

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