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JOE (1) Falling in love with Joe

Joeの留学の日が近づいてきた。東京でも会っていたが、もう一度京都で会っておきたいと電話があった。

Joeは京阪三条のプラットホームまで迎えに来てくれた。いつものようにJazz喫茶をはしごして、食事してそれから京都の街を歩いた。
「ここが僕の下宿だよ」と言って北白川のお米屋さんの2階を指さした。その時は部屋には上がらなかった。7時半ごろに御所のひとつの門の近くを歩いている時だった。Joeがはっきりとした声で言った。
Joe 「Marie、このあたりで、そろそろキスなど、いかがでしょうか」
Marie 「クックックックッ。何言ってるのよ、Joe、とてもそんな気分になれないわ」
Joeが沈黙した。
Marie 「Joeが変なこと言うから、どっと疲れてきた。もう帰る。タクシーで四条まで行くわ」
Joeがさっと車を止めてくれた
タクシーに乗って窓を、クルクル回して下げた。
Marie 「じゃ、Joe、元気でね」と言って手袋をしたままの手をさし出した。
ボーと突っ立っていたJoeがハッと我に返ったように近づいて来て、やはり手袋をしたままの手をさし出したかに思えたが、電光石火、左手でさっと手袋をはずして素手で私の手を包んだ。
その素早さに私は感動した。人の所作にこれほど感動したのは生まれて初めてだった。素手から伝わってくる想いは勿論感じたが、何より私はマナーに感動したのだ。この人は、こういう感動をこれからも私に与えてくれる唯一の人かもしれない。

最初の出会いで「もう一人の自分」だと感じたJoeに、特別の想いがあったことは事実だが、私より若くて、学問の世界で生きていくJoeを、私の毒気にさらして、将来を曇らせてはいけないと感じていた。
Joeといると楽しかったし、Joeといる時の自分が一番輝いていて好きだった。好きとはそういうことかもしれない。ただ、自分よりも年若い男性を恋人の範疇に入れる趣味も、つもりも私には全くなかった。

Joeが日本を去っても、私には男友達がたくさんいた。Joeがいなくなった分、男友達の数はずっと増えるだろうと思っていた。なのに、2週間も経たないうちに、私は不在が喚起する強い愛に目覚めたのだった。

一方Joeは、キスを拒絶され、逃げるようにタクシーでその場を去ってゆく私を見て、「これで完全に失恋した」と深く深く思い込んだのだった。

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