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チボー家のジャック?

チボー家のジャック? 2004年4月21日 (Wed) 18:09:53

その子はいつも、たて看の前で、マイクを握っていた。厭きもせずにアジリ続けていた。来る日も来る日も。ある時話す機会があった。「君ねえ、極左と極右は回りに回って、結局同じなんだよ」「何の話?」「君は孤高でありたいんだよ。でもそれには君の心は弱すぎるんだ」「何の事?」
こうやって誰かれなく自己批判を強いるのが流行だったし、常に自己批判しながら,皆暗い顔で生きていた。(今から思えば結構楽しかったのだけど)
しばらくして、この子の逮捕の小さな記事が新聞に出た。
「オレの事をチボー家のジャックと呼んでくれ」
「オレは東大だけが大学だと思い込んで、2浪したんだ。馬鹿だったよ。親父の家系がみんな東大なんだ。」
「君は」と言うとき、人差し指を顔の前に突き出すのだけど、指先が微かに震えていた。ブロバリンのせいか、単に純情なのか。

何年かして私がタウン情報誌の取材で千日前を歩いているとき、この人のことを思い出し家に立ち寄ってみた。ミナミのど真ん中でホステス専用のアパートを引き継いでいた。
「お袋が死んだんだよ。お袋の妹が一緒に住んでたんだけど、うるさいから、追い出したんだ。」「そのおばさん、どこへ行ったの?」「田舎へ帰った。この前坊主も断ったんだ」「またなんで?」「毎月来るのが、煩わしいんだ。オレはこの享楽と世俗の中で、孤高でいたいんだ」

さらに1年位した頃、チボー家のジャックから電話があった。「君にぜひ頼みたい事があるんだ。会って相談したい。」
図書館員になりたいと言っていたけど。彼は母一人から生まれた子で、当然兄弟もいない。おばさんを追い出したから、肉親もいない。「坊主も断っ」てあの世の母も切り捨てた。ブラックリストに載っていて公安の尾行までついていた。就職は無理なのだ。保証人の相談か。

「誰にも言うなよ、言ったら殺すぞ」という前置きがあって切り出した相談の内容とは、いきなり殺人計画だった!
「どうしても殺したいヤツがいるんだ。君が色仕掛けで此処へ連れ込んでくれ。そして酒を飲ますんだ。俺は押入れに隠れてる。酔って寝込んだところへ・・。後は俺一人でやる。」・・!!
「私がそれをする必然性が何処にもないじゃない」・・いくら脅されても笑うしかなかった。「アパートの管理人で、若いのにじっとしてるから、そうなるのよ。発想の転換したらあ!海外旅行とか、留学とか」・・
「オレにはパスポートが下りないんだよ」
失礼だから笑うのだけは止めた。

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