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祖母の思い出

祖母が床に臥して何日かがたった頃だ。
その日珍しく私は元気で朝に起きて大学に行こうとしていたのだろうか。鏡の前で髪に櫛を入れていた。背中を覆うくらいに長く多い豊かな髪である。
すると祖母がガラス戸を床に伏したまま、手で力いっぱいに開けた。そしてわたしをじっと見ている。じっと見られるのは嫌なもので、すぐにそのガラス戸を閉めた。鏡の前からガラス戸までの距離は1,2メートル。鏡の前にもどって櫛を入れようとすると、祖母がまた手で力いっぱいに開けた。祖母がこういう風に強く自己主張することはまずないので、少し驚いた。
「あまり、じっと見ないで。どうしたの?何が見たいの?」
「気持ちよさそうに髪を梳いているところを見たい。命の輝きを感じるから。見させて」
「どうぞ。わかった。おばあちゃんの目には、こんな私でも、羨むような生命力を感じるの?」
「本当に気持ちよさそうね。私も娘のころの気分を思い出す」
「その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな。おばあちゃんは、まさにこの歌の心境なのね」
「黒髪の驕りの春。Bちゃんもいつの間にかそんな年頃になったのね」

与謝野晶子のこの歌を思い出すとき、私はいつもこの日の祖母の顔を思い出す。そして今自分がその時の祖母の気持ちが、手に取るようにわかるようになったことを、祖母に告げたいと思う。

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