PLANETEに戻る

Latest Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

人間ーこの抽象的なるものの中で(2)

人間ーこの抽象的なるものの中で(2) 2004年7月7日 (Wed) 17:50:44

MSを地下鉄の入り口までお見送りして戻ってくると、画廊の入り口で谷川君(仮名)が熊のようにウロウロ回っている。
「いらっしゃい。どうして中に入らないの?」
「ちょっとちょっと。僕あの人怖い。なんか、とって食われそうだ」
指の指す方を見るとBさんの姿が見える。
「クックックッ。心配しないで。あなたのように身体の大きい割りに心臓の小さい子羊は彼女の食欲をそそらないわ。大丈夫」
谷川君を中に入れてBさんに紹介する。
「この人期待に怯えているので、優しく取って食ってやってよ」
Bさんと谷川君は二階のテーブルに座って話し始めた。絶対合わないと思ったが、結構話が合うようだ。

谷川君は公務員。府庁に勤めている。お互いカッコ悪いので、学生時代の友人ということにしているが、実は電車の中でナンパされた。話してみると出身校が同じで、すぐに共通の話題がたくさん見つかった。経歴から見ると、比較的順調なエリートコースを歩んでいるように見える。第一おとなしい。よく声をかける勇気があったものだ。一口で言えば、女の子のお母さんに気に入られるタイプ。
背が高いのは中学の時にバレーボールをしていたためらしい。練習で疲れて帰るので食事の後すぐ眠る。毎朝3時に起きて、一年を通して水浴びをし、その後集中して勉強したそうだ。スポーツと勉強を両立させて一流の住高に進学した。私なんかが聞くとひっくり返るくらい意思が強そうだ。否そうして意志力を鍛えたらしい。感心、感心。
ただこの人異常に暗いところがある。

3回目に会ったときに自分を語り始めた。このママズボーイ小6から中1にかけて、札付きの不良だったとか。
「どういう風な不良だったの?」
「その辺のバイク盗んで乗り回したり、不良の仲間と行動を共にしてた」「ふ?ん、今のあなたからは全然想像つかない」
「僕は後妻の子なんだ。先妻の子、兄貴が二人いた。5人とおばあちゃんで暮らしてたんだ。ある日二人の兄貴が家出。自分の実母のところに行ってしまったんだ。それでおふくろが「愛情込めて育てたつもりなのに」って怒り出して、親父とけんか。離婚という話になった。もう家に寄り付きたくなくなったんだよ。毎日ムシャクシャしてた。そしたら不良のやつらが自然と集まってくるんだよ。あれは不思議だ。不良には不良仲間の引力ってもんがあるんだよ。あいつらといると、安らぐんだ。それに楽しい」

結局離婚はせずお父さん、お母さん、おばあちゃんは今も一緒に暮らしているらしい。谷川君は就職と同時に家を出ていた。公務員という職業が今ほど人気のない時代、お父さんと同じ職業を選んだ自分の人生に納得が出来なくて、司法試験の勉強を続けていた。だからアパートも図書館のすぐそばだった。・・

ガラスの外からBさんを見ただけで、何故びびったのだろう。彼もBさんの迫力、Black Magicを感知できた一人なのか。

テーブルを挟んで二人はごく日常的な大真面目な顔をして、太宰や、安吾の話などをしている。(続く)
///////////////////////////////////

Gerard LENORMAN 「L'enfant des Cathedrales」

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

«  | HOME |  »

2017-04

  • «
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • »

MONTHLY

CATEGORIES

RECENT ENTRIES

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACKS

APPENDIX

Bruxelles

Bruxelles

FC2ブログへようこそ!

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。