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6)父の日記

(6)父の日記 2004年7月15日 (Thu) 13:36:27

小さい頃毎朝早起きしては隣の家に出かけて、家族全員の前で歌を歌うのが日課だった。歌は兄が前日幼稚園で習ってきた歌。なんて近所迷惑な子供だったのか。
幼稚園の時は1度ラジオの子供番組に出た。T薬品の提供番組で予選フリー、いきなり本番だった。父が放送局に連れて行ってくれた。ラジオが悪かったのか、声が悪かったのか放送日、ラジオからはゼーゼーという音しか聞こえてこなかった。歌ったのは「土曜日の夜」

養護学校の誕生会でもいつもソロで歌っていた。「恋の片道切符」「オオ、キャロル」「カラーに口紅」「悲しき街角」etc,.

高校の時は予餞会。2年連続アカペラで独唱した。1年目はアル・ジョンソンの「スワニー」2年目は雪村いずみの「約束」。それに加え高1の時、労音の新人歌手コンテストにまで出場した。会場がすでに大ホールだった。課題曲は「夜明けの歌」伴奏を無視して自分の旋律で歌った。思いがけず拍手が来た。歌った後スカウトが来た、と思った。今考えたら、単なる歌謡学校の生徒勧誘だったのかも知れない。2次選考があると聞かされた。自由曲と言うことだったので「スワニー」と書いた。・・病気で出場できなかった。

音楽教師は宮川泰と同期と言うのが自慢の人。この教師に「君のような歌い方をするのは、天才か気違いだ」と言われた。自信が砕けて落ち込んでいたら、友達が「天才か気違いだったら、天才と思えばいい」と励ましてくれた。「そういう考えもあり、か」と思った私は本格的に音楽院で個人レッスンを受けることになった。卒倒するようなレッスン料だ。まずは発声練習から。裏声を使えと言われた。裏返せば上はいくらでも出る。抵抗を感じた。地声で歌いたい。しかし地声なら幅は狭い。
I left my heart in San Francisco??「思い出のサンフランシスコ」などを練習した。・・しばらくたった頃、いよいよナイトクラブで歌ってみないか、と言うことになった。体力的にも無理だったしその上母が大反対した。歌手になる夢は、そのとき消えた。?

そもそもそのレッスン料は、どうしたのかと言うことだ。大沢さんに払ってもらっていた。大沢さんの月収のおよそ30%を私の道楽が食い潰していた事になる。本当に申し訳ない。

大沢さんがABC画廊にみえた。「あっ、これは○○○○さんの字だ」と叫ばれた。「Bruxellesさん、これお父様の字体ね」・・・
父の日記は英文で、タイプで打ってある。ミスタイプを直した部分が2ヶ所、文字にして5文字しか手書きの部分は無い。・・・・
私はひとつの物凄い愛の渦の中に、自分がいたのだと感じた。
「彼の人の子」・・Bruxellesではない、Bruxellesの父の子、それが私だ。祖母の孫でもある。それ以外は自分個人が人との関わりの中でつくり上げていく。その時点の自己認識が、突然明快になった。

父の日記は3月13日の大阪空襲。祖母が真っ先に逃げる。父が最小限必要なものを手に取る。逃げようとすると、犬のポチが泣き叫ぶ。父は迷う。引き返せばとても危険だ。クリスチャンの父は炎の中を引き返す。鎖を解く。犬はしばらくキョトンとして、何を思ったか、家の中に逃げ込んでいった。・・通りには戦争ヒステリーの人もいる。畳を持って逃げている。子供を防空壕に押し込もうとする人。爆風で自転車が電線に、焼け爛れて引っ掛かっている。とにかく熱い。川に飛び込む人もいる。人々は北へ北へと逃げたらしい。持って逃げようとしたものを、次々と道に落としながら。阿鼻叫喚。・・・・唯一の鉄筋のビル、心斎橋の石原ビルに人々が集まる。覆い重なるような多数の人々の一番奥に、着の身着のままで逃げた祖母を発見する。大きな安堵。滅びの家系、祖母には父、父には祖母しか、(同姓の)家族も親族もいない。

この心斎橋の石原ビル、「東京資本の大阪進出」という大々的ニュースと共に、西武資本に買い取られ、心斎橋パルコになったのは、詩画展の4年前のことだった。
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Georges Brassens 「La chanson pour l'Auvergnat」

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