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隠れサッフォーの店

隠れサッフォーの店 2004年7月30日 (Fri) 19:00:12

’70年の日本は青年だった。万博があり大阪城では反博もあった。その1月に祖母が死んだ。前年人類が月に立つのを祖母は見た。アポロ11号。私が生き抜いて大学生になるのも見た。山村祐が主幹の第4の短詩系運動誌「短詩」のエッセイの部で年度賞を受賞しその賞品の書類箱を祖母にプレゼントできた。けれど祖母が愛した大阪の実験的未来都市、大阪万博を祖母は見ることが出来なかった。
なんだか馬鹿のように万博ばかりに行った。現代音楽と現代アートの実験場だったからでもある。

短詩は「一行の詩 地に塔のごとし」というキャッチコピーを持って、短歌でも俳句でも川柳でもない、新しい短詩系文学を目指していた。年配者には前衛川柳出身者が多くその頃無名だった時実新子も出入りしていて、娘の吹田まどかは生き生きとした作品を発表していた。私も1行詩にのめり込んだ。
若者は競ってエッセイを書き理論武装に励んだ。若いエネルギーがその組織をあっという間に自爆させてしまった。日本の短詩系運動史に、何らかの痕跡を残すことが出来たのだろうか?
何人かが独自の個人誌を発行し始めた。神戸のマッサージ師平田さんもその一人。「短詩峡」を発行した。

1度誘われて平田さんと一緒に万博に行った。平田さんは身障者手帳を持って真っ黒なあんまメガネをかけている。私は例によって黒のサングラス。するとどうだ。スーイスイスイ。全然並ばずに入れる。1日でほとんどを見ることが出来た。居酒屋に行って、それから平田さんの文学仲間のスナックに行く。そこが隠れサッフォーの店だと言うことを、平田さんは知らなかったようだ。

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ビオレット・ルデュックの「私生児」に話が及んですぐにわかった。オーナーの薫さんは20数年来のパートナーと店を切り盛りしていた。

その昔、防空壕の中で同僚の教師に震える思いで恋を打ち明けたらしい。明日死ぬかもしれない。二人の若い気持ちがメラメラと火花を散らして・・。やがて生徒の知るところとなる。この辺はまさに「噂の二人」。校長に呼ばれる。「不徳のいたすところです」その言葉を残して、二人、故郷を出奔。薫さんは神戸のキャバレーの従業員になる。ポマードこてこてのチンピラアンちゃんに突然顎でこき使われる。やがて進駐軍が登場、接収、御用達のレストランになる。愛しき人は現実に慄いてすぐに帰郷。薫さんの肉体労働に明け暮れる孤独で過酷な人生が始まる。
(カミングアウトの書「あるエトランゼの日記」1999年ビレッジプレス刊にそのあたりの詳しい記述がある)
(手塚治虫が「アドルフに告ぐ」で同じく神戸の戦後をリアルに書いていたような気がする)

この店は隠れだけあって、サラリーマンがカウンターにずらりと並ぶ日もあれば、サッフォー達が集まる日もある。また薫さんは文学に情熱を燃やしていたので神戸の様々な文学仲間の塹壕にもなっていた。
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「この抽象的なるものの中で」の会期中、私は一度コンサルタントに相談してみた。
B「私は、Bさんのこと、本とに好きなのかなあ」
姫「Bさんがね、Bさんがね、ってBruxellesちゃんしょっちゅう言ってるから、きっと好きなんじゃないの」
B「ふ?ん」「じゃBさんはどお?」
姫「聞いてみたら?」
B「クックックッ。そんなバカな。Bさんの気持ちよりも、第3者が見て、どういう関係に見えるのかなと思って」

言っている途中で思いついた。明日、三宮のあの店にBさんを案内して、薫さんに紹介してみよう。自分のアイデアがすごく楽しいものに思えて、一人で笑い出してしまった。

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[Tous les bateaux tous les oiseaux」
       par MICHEL POLNAREFF

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