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装具&涙と笑い

装具&涙と笑い 2004年8月17日 (Tue) 18:56:13

3ヶ月目に装具が出来てきた。左側を母が右側をTTが支えてくれた。ベッドを降りて歩く練習を始める。脚を全く動かせない。ただ支えられているだけ。装具は鉄とプラスチック、皮とゴム、マジックテイプ等で出来ている。一見義足に見える。バランスをとって立つことさえ出来ない。踏ん張ってみても。踏ん張ってみても。気がついたら身も世もなく号泣していた。「歩けない、歩けない」と叫びながら。
院長である主治医が廊下を通りかかる。「悲しませるために作ったのではない。立ち上がって、喜ぶだろうと、作ったのに」

装具をつけて物につかまって、直立する練習から始めた。3ヶ月の絶対安静で元からたいしてない筋肉が萎え切っている。翌日から松葉杖をレンタルすることになった。

松葉杖は脇で支えると思っている人がいるかもしれない。腕でコントロールする。脇の下からボール一個分離れていなくてはならない。最初は2本、慣れてくると1本。意外なことに、左足が悪い場合はその1本は右側に持つ。

手術立会い看護婦が言った。「膝は完全に砕けていました。院長先生がピンセットで飛び散った欠片を、一生懸命拾い集めて何とか形を作られました」
膝の皿は本来動くものらしい。ボルトで固定してあるので皿が動くどころか、膝はピンと突っ張ったままほんの少しも曲げることは出来ない。ギプスは何度作り変えただろうか。

古いギプスは、脚につけたまま電動ノコギリで切り裂く。脚まで切られないかといつもハラハラした。
初めてギプスを巻いた日CCがカラーマジックペンを沢山持参してきて思いっきり落書きをした。「アメリカではこうするのだよ」
医者も看護婦も何も言わなかったが、内心ギクリとしていたに違いない。この行為で顰蹙を買わなかったのは、ひとえに若く美しかったからだ。最初の3ヶ月ほとんど毎日のように来て、夜遅くまでそばにいてくれた。そしてその真摯な態度にジワジワと病院の人気者になっていった。

最初の日、脚に錘をつけて、ベッドに釘付けにされている私を見てCCは、イスを引き寄せハラハラと涙を流した。慌ててティシュを摘み出し涙を拭いていた。「Let me kiss you,Bruxelles」そしてkissして「I love you,Bruxelles」と言った。?

もう手術出来ないほどパンパンに腫れ上がった大腿、血まみれの髪の毛と顔、最初訪れた友は皆一様に言葉を失くした。ただ一人だけ嬉しさを抑え切れなくて心からケラケラと笑った人がいた。
「Bruxellesちゃん、世の中に神様って本当にいるんだね。今日それを確信できたよ。」
そしてまた肩を揺すって笑った。?狂っているのか。そんなにも苦しかったのなら、その笑いで、・・その笑いで正気を取り戻せるなら、思いっきり笑うといい。

思えばこの時もう15年、本人の言葉を借りれば「奴隷のように」尽くして尽くして生きてきたのだと言う。これで振り向くだろう、これでどうだと、まるで意地のように誠意と善意の大盤振舞い。いつかのBさんのように「可哀相に。どうするつもり」と人は言うだろう。でも、人の想いに対して、「可哀相に」等という同情は「失礼」以外の何物でもないと、私は今も思う。

TTはまだ笑っている。
「僕にもようやく運が向いてきた」心の中でなく、声に出してそう言った。

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Mylene Farmer 「Alice」

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